カイコタンの読書ブログ

読書したり映画を観て感じたことをつづっていきます。

私の庭 蝦夷地編 花村萬月

権介と茂吉の性格は対照的ですが 、権介はある種超越した性質を持つことから、ボクは茂吉側の視点に立ちました。

蝦夷でのサバイバルは想像の世界でしかありませんが、強烈な寒さとアイヌの知恵は、旅を知る花村萬月の経験が裏打ちされた描写だと感じました。

権介と茂吉は再会するのでしょうが、何処でどんな形で再会するのか続編が楽しみです。

 

私の庭 蝦夷地篇〈上〉 (光文社文庫)

私の庭 蝦夷地篇〈上〉 (光文社文庫)

 
私の庭 蝦夷地篇〈下〉 (光文社文庫)

私の庭 蝦夷地篇〈下〉 (光文社文庫)

 

 

私の庭 浅草編 花村萬月

権介は蝦夷に渡るのか、私の庭とは蝦夷なのかという視点を持って読み進めるには、圧倒的過ぎる量で、ただ権介を追うことしかできませんでした。 


幕末の目まぐるしい社会の変化には一見無関係のように見える権介ですが、結局時代に翻弄されているのだとも感じました。 

ずっと権介を見ていたいという気持ちで続編を読むのが楽しみです。

 

 

私の庭 浅草篇 上 (光文社文庫)

私の庭 浅草篇 上 (光文社文庫)

 
私の庭 浅草篇 下 (光文社文庫)

私の庭 浅草篇 下 (光文社文庫)

 

 

臆病者のための億万長者入門 橘玲

 理論的には理解できて簡単なようでも、実践するには難しいことはたくさんあって、そこには人間の本能が隠されていると理解できました。

金融リテラシーを高めるためには、人間の本能と逆行する遅い思考が必要であり、ゆっくり思考できるものだけが巨万の富を得ることができるというのは納得でした。
高僧であっても金銭的な煩悩からは抜け出せないという高野山の例は皮肉な話です。

臆病者のための億万長者入門

臆病者のための億万長者入門

 

 

告白 町田康

熊太郎の、思考と言葉の不一致という、思考の高度さと言葉の幼稚さの対比が切なくなりました。 
思弁的な人は破滅していくのか、という視点で読み進めました。 

熊太郎にはそこに見栄が混じってアウトローな生き方しかできなくなります。 
思考ですべてを知って悟ろうとする生き方は、苦しいのですが、社会が高度化すればするほど、つまり現代においては、熊太郎のような苦しみを抱える人が大多数なのだと感じました。 

思考と言葉が一致しないという人は、意外に多いようにも感じますが、結局、一致、不一致が問題なのではなく、その人の資質や性格が問題なのだと感じました。 
つまり、資質や性格によっては、熊太郎のように、思考と言葉が一致しなくても愛される人もいれば、言葉が即ち思考という人であっても愛されるのだと思いました。

 

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)

 

 

一千兆円の身代金 八木圭一

このミステリーがすごい!」大賞の大賞受賞ということで、タイトルにも惹かれて読みました。国家相手の身代金要求はフィクションでしかあり得ませんが、仮に考えたとき、国の対応が日本らしいと感じました。

確かに悲観的な日本の将来に対して子供たちにその罪はありませんが、現在の社会保障を崩壊させることもできないとすれば、少なくともボクらの世代は現状の世代間格差にもっと怒るべきだとも感じました。

政治的な社会的なパワーは怒りだとボクは思うので、本書はストレートにそれが表現されている点で心地よく読み進めることができました。

 

 

一千兆円の身代金 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

一千兆円の身代金 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)