カイコタンの読書ブログ

読書したり映画を観て感じたことをつづっていきます。

一千兆円の身代金 八木圭一

「このミステリーがすごい!」大賞の大賞受賞ということで、タイトルにも惹かれて読みました。国家相手の身代金要求はフィクションでしかあり得ませんが、仮に考えたとき、国の対応が日本らしいと感じました。確かに悲観的な日本の将来に対して子供たちにそ…

小暮荘物語 三浦しをん

昨今人間関係の希薄化が指摘され、それが引きこもりやニートや不登校の原因ともされていますが、人間関係の希薄化とは何なのかを考えてみれば、現代社会においては、希薄な人間関係の中でも生活できる経済的な豊かさがあると感じています。昔は引きこもるほ…

ラフ・アンド・タフ 馳星周

読了後の切なさや哀しさは馳星周独特で、ボクはそれを求め、期待しているから馳星周を読むのだと再確認しました。 このあとどんな結末が待っているのかは、馳ファンなら感じることができますが、それを先読みせずに、馳ワールドにどっぷりと浸かるのがよいと…

映画 3‐4×10月

寄った構図から、カメラが引いていくと周囲の状況が徐々に掴めていくというカメラ-ワークが多用されており、それが次の驚きやショックを生み、最後まで飽きさせない作品となっています。 バイオレンスとユーモアのがうまく融合すると、それぞれが相乗効果を…

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話 坪田信貴

話題本というだけで妻が購入したものをボクもついでに読みました。 世の中こういう娘もいるんだと思えました。 偏差値至上の社会から目を背けることはできませんが、後天的な単なる勉強で人生変えられるというのは希望だと感じました。 学年ビリのギャルが1…

死にたい老人 木谷恭介

ボクが83歳になることは想像できません。 筆者は自らの老化に絶望し、断食により自死を図りますが失敗します。 本能であるはずの食欲を抑えるのは人間の理性ですが、理性である断食によっては自殺できないという点で、結局、自らの断食死は土中における即身…

こう観ればサッカーは0-0でも面白い 福西崇史

サッカー素人のボクはゴールシーンばかりに目がいきますが、守備における組織的な動きや攻撃時の献身的な動きの重要性がわかりやすく、これまでとは少し違った視点でワールドカップを楽しめるのではないかと感じました。身体能力に壁がある日本人は、組織力…

雀蜂 貴志祐介

スズメバチ対人間の格闘ですが、スズメバチの恐怖は、その攻撃に躊躇がないというところだと感じました。 それは、第二次世界大戦中の日本の特攻の様で、我が身を抛つ攻撃には、恐怖が先行してしまい、優位的な状況でも自らそれを崩壊させてしまうという心理…

蔦重の教え 車浮代

小説仕立ての自己啓発本ですが、蔦屋重三郎が生きた時代を細かな描写と、現代との対比によって面白く、読みやすい内容でした。 やはり自己啓発の内容は、その一つ一つは難しいことではないのですが、それを継続して続けることが難しいのだと思いました。 何…

灰色の犬 福澤徹三

20代とヤクザの苦悩と警察内部の個人的な事情が絡まって面白かったです。福澤徹三は難しい言葉や回りくどい言い回しがない文体なので、どんどん読み進めることができますが、本書は特に後半、目まぐるしく視点が変わり、どういう結末を迎えるのか気になり、…

月島慕情 浅田次郎

短編が7つおさめられていますが、タイトルにもなっている「月島慕情」がぼく的には一番良かったです。 浅田次郎にはいつも一瞬でその小説の中に入らされます。 意外とキーワードが前半部分に出てくるためにその時代背景や設定が分かりやすいのではないかと…

映画 ザ・ボーイ

中二の娘と観ました。照明の当たり方で、人形であっても表情が変わったように見える手法は、能のようでした。恐怖の裏側には悲しみのストーリーがあって、それを引き立たせるには、美しいものを取り入れるという、ボクなりの恐怖映画の評価の基準をすべて満…

映画 ソナチネ

ところどころ響く銃声の音が、ユーモアからシリアスへの転換のアクセントとなっています。色の対比や遠景、近景のバランスから読み取れる状況は、計算しつくされて撮影されているのだと思いました。 やはり映画は、ストーリー以上に、映像の表現であることが…

映画 傷だらけの悪魔

学校のクラスのごたごたを、当事者以外が真に理解しようとすれば、要点を抽出して、話を単純化してしまいがちですが、複雑な構造のいじめについては、そっくりそのまま理解しなければならないと思いました。そのためには、そのクラスに所属しなければ難しい…

父を葬る 高山文彦

読了後に感じるやるせなさは、高千穂文化でボクも生きていたからだと思いました。父親の闘病と母の看病、先祖、家族、自分がすべて高千穂の世界から一人称で語られています。ただの闘病記ではなく、高千穂の真実や苦しみの歴史が詰まっています。会話の語尾…

敗者復活 藤田宣永

ボクが二十代前半頃の夢は、古本屋とバッティングセンターの経営でした。 j-net21.smrj.go.jp 当時、ボクが理想のモデルとした、お気に入りのバッティングセンターにはマンションが建って久しくなりました。 結局、古本屋にしてもバッティングセンターにして…

黒部の山賊 伊藤正一

面白くて一気読みでした。もちろん黒部には行ったことないのですが、昭和20年代の黒部にタイムスリップしたかのように臨場感が伝わってきました。 素晴らしい景色や心地よい空気感だけでなく、山の厳しさや、結局人間の業が絡む山の生活には、やはりそこで生…

僕たちの戦争 萩原浩

新しい環境に順応しようとしたとき、それまでの価値観に縛られない柔軟性が必要と思いますが、現代と第二次世界大戦中の若者がタイムスリップすると、どう順応していくのかという点で面白く読めました。現代人の健太が特攻までに至る心理は、結局愛する者を…

二郎は鮨の夢を見る

寿司職人の修行について、ホリエモンの考え方は理解できますが、 職人に適性があるとすれば、目の前にある自分の仕事に対し、誠実で妥協しないということだと思いました。 www.j-cast.com 職を決める時に、目の前に職人の世界があったからと言っても、誰もが…

神の島 沖ノ島 藤原新也 安部龍太郎

写真に力があるとすれば、専門家よりも専門知識のない一般人の方が単純に何かを感じられるのだと思います。心を揺さぶられる写真には、被写体や撮影テクニックだけでは伝わらないものが込められているような気がします。 そういう意味では、高名な写真家の信…

破獄 吉村昭

脱獄を繰り返した男の半生を描いた小説でした。特に昭和初期までの監獄からの脱獄は牢も看守の質も未熟で、まさに人知と体力の闘いの様子でした。 用意周到に脱獄する者は、ハンニバル・レクターのように知能が高いだけでなく体力も備えておく以上に、脱獄に…

よもぎ学園高等学校蹴球部 松波太郎

精神論を唱える女性のサッカー部監督は面白い設定でしたが、時間軸が飛躍する点は、エピローグのエピローグのような感覚で新しい感触でした。 よもぎ学園高等学校蹴球部 作者: 松波太郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2009/08/26 メディア: 単行本 クリ…

映画 日本の自転車泥棒

震災前の岩手沿岸、福島が、美しく寂しく写されています。 杉本哲太の自転車に乗る姿勢がきれいで、自然の中を自転車で走り抜けるシーンはとても気持ちよく見ることができました。 日本の自転車泥棒 [DVD] 出版社/メーカー: フロンティアワークス 発売日: 20…

教団X 中村文則

人の個人的な思考の世界と公の行動の境界線を行ったり来たりする感覚の小説でした。 同じように原始的で個人的な閃きや発想があって、単なる思考から思想へと発展する流れは同じでも、それを人に伝えて発展していく段階で、道は大きく変わるのだと思いました…

一刀斎夢録 浅田次郎

武田鉄矢は新選組が嫌いだということですが、それは龍馬を軸に見てのことだと思います。 薩長の史観教育によれば、幕府側の新選組は悪ということになりますが、その理論で言えば、国に戦いを挑んだ西郷も悪となるところ、そうではないところに何かが潜んでい…

ダイナー 平山夢明

食べ物を主軸とした小説は、読者に食べてみたいと思わせる表現ができるかというのが一つの基準であるとすれば、本書のボンベロのハンバーガーには強烈に惹かれました。 一方で、匂いや食感が刺激されるとすぐにグロい表現によって食欲が減滅させられる繰り返…

あやし うらめし あな かなし 浅田次郎

怪談というものでもなく、少し不思議な話を集めた短編集でした。 あまり面白い!というものはありませんでしたが、あえて言うなら、一編目の「赤い絆」がありがちな話しでまとまりが良かったと思いました。 あやし うらめし あな かなし (集英社文庫) 作者: …

映画 あん

印象に残る演技をするなと思いながら見ていた女子中学生が内田伽羅ということを知らないまま観ました。芸能一家で育つとああなるのかと思わずにはいられない魅力を感じました。樹木希林の演技も、永瀬正敏も適役で良かったです。比較的シンプルなストーリー…

死に金 福澤徹三

余命わずかとなったとき、お金を抱えたままでは死ねない、相続させたい人間もいないというときの男の心境は想像できませんが、そのお金をあてにして、周囲の人間が必死に動く様が面白かったです。 楽して莫大なお金を手にしたいという気持ちより、無心に好き…

人生相談。 真梨幸子

それぞれが独立した短編のような出だしですが、徐々に共通する人物が登場するに従って、物語の軸が見えてくる感じでした。同じ一つの出来事でも、関わり方や立場が変われば、全く別の面が見えてくると改めて感じました。 人生相談。 作者: 真梨幸子 出版社/…

映画 ぱいかじ南海大作戦

食料が豊富にあると、人はおおらかになるのだと思いました。 これも原作を読まずに映画を観ました。 ストーリが明快であるため思考は発展しませんが、時間つぶしには良いと思いました。 ぱいかじ南海作戦 [DVD] 出版社/メーカー: キングレコード 発売日: 201…

映画 百瀬、こっち向いて。

解釈は観るものに委ねるという姿勢の映画は考えさせられます。 原作は読んでいませんが良いものなんだと思われ、映画がより具体的に良い作品になったのだと思いました。 実際観るまでは敬遠気味でしたが、心が揺り動かされる場面がいくつもありました。それ…

幕末 戦慄の絆 加治将一

南朝革命論の流れで読みましたが、やはり幕末を南朝革命という視点から見た時のすっきり感を感じられました。和宮の左手がないという切り口から、和宮すり替え論に発展し、旭形亀太郎、有栖川宮熾仁、出口王仁三郎と続けば、読み終えるまでは抜け出せない加…

敵討 吉村昭

現代のように携帯電話や気軽に写真を撮ることなどできなかった江戸時代に仇を探すだけでも相当な苦労があり、結局見つかった時にはお互い老人ということもあったとすれば、仇を何十年も追い続けるモチベーションを保ち続ける裏にはどういう心理があるのか、…

砂の王国 荻原浩

ホームレスが新興宗教をつくって再起を図るという内容です。 はじめから教祖のカリスマ性や深い教義の解釈があるのではないという手探りの過程が面白く感じました。 しかし信者が増えることにより、信者自身が教義を深く読み、運用し、教祖のカリスマ性が増…

ガラパゴス  相場英雄

ボクらロスジェネと呼ばれる世代の働き方や現代日本の過酷な社会システムが描かれた小説でした。確かに、日本は戦後復興を遂げ、高度経済成長期にがんばった日本人は素晴らしいと思いますが、そこから権益の守りに入ってしまったのでしょうか。バブル崩壊の…

映画 野火

小説は高校生の頃に読んでいました。細かな内容は忘れてましたが、ストーリーは観ながら思い出しました。 これが真実かどうかはわかりませんが、当時の雰囲気はリアルです。 野火 [DVD] 出版社/メーカー: 松竹 発売日: 2016/05/12 メディア: DVD この商品を…

花渡る海 吉村昭

人は置かれた環境の中でベストを尽くそうとするのが自然な姿なのだと思いました。最後は運が影響しますが、あくまでベストを尽くさなければならないのだと思いました。久蔵が漂流してロシアで過ごした期間は数年であっても、その激動を生き抜いたということ…

すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論 堀江貴文

ホリエモンの教育に対する考え方は、本質を捉えすぎて、特に団塊の世代以上には受け入れられないと思いました。 ボクは、教育は社会に平行して適合しなければならないと思っていますが、現状では、ホリエモンのいうように、学校は、今でも工場要員の養成所で…

励み場 青山文平

小説において、セリフとセリフの間の描写が多すぎると、リズム感が失われますが、その描写が巧みであるほど、次のセリフの深みが増すという効果が存分に感じられる文体と思いました。青山文平の二冊目でしたが、ボクは青山文平にハマりつつあることに気づき…

映画 二重生活

原作を読んでいませんが、面白い設定で、どのように展開していくのか楽しんで観ることができました。とにかく、門脇麦の演技に夢中になりました。満島ひかりや二階堂ふみ、尾野真千子などに通ずる「覚悟」を感じることができる女優の一人だと確信しました。…

スクラップ・アンド・ビルド 羽田圭介

人は常に思考しながら生きているのだと感じさせられました。 思考を文章で表現すると、一瞬でも多くの分量になりますが、それは映画では難しい、小説ならではの表現なのだと思いました。また、家族というつながりで、愛情だけで介護はできないと思いました。…

映画 エスター

ホラーというジャンルに分類されるのかはわかりませんが、手に汗握る感じを久々に味わえる映画でした。 持ちモノや服装から、序盤に真相が何となくわかりましたが、わかるとさらに恐怖が増すという感じでした。 イザベル・ファーマンの演技はすごいとしか言…

遠縁の女 青山文平

青山文平を初めて読みました。短編ですが、非常に独特と思いました。どの作も終わり方が独特で、余韻の残る読了感でした。特に最初に読んだため印象に残った一編目の「機織る武家」はそこで終わるのかという場面が印象的でした。歴史の考察が深く、薄っぺら…

明治天皇”すり替え”説の真相 落合莞爾

明治天皇のすり替えはあったのか?フルベッキ写真の真相は?ということで、落合氏と斎藤氏の対談を交えながら、それぞれの主張が展開されていきます。すり替えはあったとする点では共通ですが、それが大室寅之祐であったかどうかとか、フルベッキ写真の青年…

分水嶺 笹本稜平

山をベースにした小説は、読んでいるボク自身もまるで山を登っているかのように感じられるかが、面白いかどうか判断できる基準ですが、その点では少し入り辛い感じがありました。 ストーリー重視という感でした。 分水嶺 作者: 笹本稜平 出版社/メーカー: 祥…

映画 UDON

人には、器用な人もいれば、不器用な人もいますが、社会にはそれぞれ居場所があるのだと思いました。 不器用な人は妥協しないというセリフに納得し、一つのものを作り続けるのは不器用な人の方が合っているのだと思いました。一方、器用な人は、妥協をするこ…

ソクラテスに聞いてみた 藤田大雪

人が生きる上で、仕事、人間関係、お金、恋愛、結婚についての悩みはよくあると思いますが、多くの人は悩みを抱えて生きているようにも思えます。 ソクラテスは、よく生きるとはどういうことか、という問いから思考が進みます。 同じ事象でも、視点を変えた…

映画 ロスト・バケーション

一緒に観ていた子供たちは途中で観られなくなるくらいのスリルでした。 泳ぎの苦手なボクから見れば、海に入るということ自体が既に怖いのですが、サメと戦い生き延びるという精神力が素晴らしく、やはり最後まであきらめてはいけないと思わされました。 こ…

君はどこにでも行ける 堀江貴文

今の日本の閉塞感や生きにくさは、将来への不安に直結し、過去の自分の判断が間違いであったのかという自己否定や、家族や社会が悪いのだと、自分は悪くないのだという考えに陥る悪循環にはまります。そんな風に考えるのではなくて、今を生きるのだと、未来…