カイコタンの読書ブログ

読書したり映画を観て感じたことをつづっていきます。

ガラパゴス  相場英雄

ボクらロスジェネと呼ばれる世代の働き方や現代日本の過酷な社会システムが描かれた小説でした。確かに、日本は戦後復興を遂げ、高度経済成長期にがんばった日本人は素晴らしいと思いますが、そこから権益の守りに入ってしまったのでしょうか。バブル崩壊の…

映画 野火

小説は高校生の頃に読んでいました。細かな内容は忘れてましたが、ストーリーは観ながら思い出しました。 これが真実かどうかはわかりませんが、当時の雰囲気はリアルです。 野火 [DVD] 出版社/メーカー: 松竹 発売日: 2016/05/12 メディア: DVD この商品を…

花渡る海 吉村昭

人は置かれた環境の中でベストを尽くそうとするのが自然な姿なのだと思いました。最後は運が影響しますが、あくまでベストを尽くさなければならないのだと思いました。久蔵が漂流してロシアで過ごした期間は数年であっても、その激動を生き抜いたということ…

すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論 堀江貴文

ホリエモンの教育に対する考え方は、本質を捉えすぎて、特に団塊の世代以上には受け入れられないと思いました。 ボクは、教育は社会に平行して適合しなければならないと思っていますが、現状では、ホリエモンのいうように、学校は、今でも工場要員の養成所で…

励み場 青山文平

小説において、セリフとセリフの間の描写が多すぎると、リズム感が失われますが、その描写が巧みであるほど、次のセリフの深みが増すという効果が存分に感じられる文体と思いました。青山文平の二冊目でしたが、ボクは青山文平にハマりつつあることに気づき…

映画 二重生活

原作を読んでいませんが、面白い設定で、どのように展開していくのか楽しんで観ることができました。とにかく、門脇麦の演技に夢中になりました。満島ひかりや二階堂ふみ、尾野真千子などに通ずる「覚悟」を感じることができる女優の一人だと確信しました。…

スクラップ・アンド・ビルド 羽田圭介

人は常に思考しながら生きているのだと感じさせられました。 思考を文章で表現すると、一瞬でも多くの分量になりますが、それは映画では難しい、小説ならではの表現なのだと思いました。また、家族というつながりで、愛情だけで介護はできないと思いました。…

映画 エスター

ホラーというジャンルに分類されるのかはわかりませんが、手に汗握る感じを久々に味わえる映画でした。 持ちモノや服装から、序盤に真相が何となくわかりましたが、わかるとさらに恐怖が増すという感じでした。 イザベル・ファーマンの演技はすごいとしか言…

遠縁の女 青山文平

青山文平を初めて読みました。短編ですが、非常に独特と思いました。どの作も終わり方が独特で、余韻の残る読了感でした。特に最初に読んだため印象に残った一編目の「機織る武家」はそこで終わるのかという場面が印象的でした。歴史の考察が深く、薄っぺら…

明治天皇”すり替え”説の真相 落合莞爾

明治天皇のすり替えはあったのか?フルベッキ写真の真相は?ということで、落合氏と斎藤氏の対談を交えながら、それぞれの主張が展開されていきます。すり替えはあったとする点では共通ですが、それが大室寅之祐であったかどうかとか、フルベッキ写真の青年…

分水嶺 笹本稜平

山をベースにした小説は、読んでいるボク自身もまるで山を登っているかのように感じられるかが、面白いかどうか判断できる基準ですが、その点では少し入り辛い感じがありました。 ストーリー重視という感でした。 分水嶺 作者: 笹本稜平 出版社/メーカー: 祥…

映画 UDON

人には、器用な人もいれば、不器用な人もいますが、社会にはそれぞれ居場所があるのだと思いました。 不器用な人は妥協しないというセリフに納得し、一つのものを作り続けるのは不器用な人の方が合っているのだと思いました。一方、器用な人は、妥協をするこ…

ソクラテスに聞いてみた 藤田大雪

人が生きる上で、仕事、人間関係、お金、恋愛、結婚についての悩みはよくあると思いますが、多くの人は悩みを抱えて生きているようにも思えます。 ソクラテスは、よく生きるとはどういうことか、という問いから思考が進みます。 同じ事象でも、視点を変えた…

映画 ロスト・バケーション

一緒に観ていた子供たちは途中で観られなくなるくらいのスリルでした。 泳ぎの苦手なボクから見れば、海に入るということ自体が既に怖いのですが、サメと戦い生き延びるという精神力が素晴らしく、やはり最後まであきらめてはいけないと思わされました。 こ…

君はどこにでも行ける 堀江貴文

今の日本の閉塞感や生きにくさは、将来への不安に直結し、過去の自分の判断が間違いであったのかという自己否定や、家族や社会が悪いのだと、自分は悪くないのだという考えに陥る悪循環にはまります。そんな風に考えるのではなくて、今を生きるのだと、未来…

象の墓場 楡周平

ここ20年くらい、カメラフィルムのメーカーは凄惨な闘いを強いられてきたということはボクにもわかります。 巨大になりすぎた企業は、急激に時代が変化することがわかっていても、大きく舵を切ることができないということなのでしょう。 これまでの事業は…

峠越え 伊藤潤

家康の伊賀越えまでの内容でした。家康と光秀は通じておらず、穴山梅雪は家康に殺されるという、通説を外した内容で面白かったです。 本能寺の変前後について、後世のボクらはダイナミックな裏話を期待してしまいますが、本当の歴史は、本書のように、その場…

言ってはいけない 橘玲

これまでボクも、なんとなくそうではないか、と思っていたことを、本書はデータや資料をもって解説していきます。 すでに学説として確立している事でも、公にすると様々な立場で都合が悪くなり、意図的に伏せられていることが世の中の多くあるのだと思いまし…

映画 ノルウェイの森

原作を読まずに映画を観ました。これまで村上直樹の小説を読みはじめても、なかなか自分の中に入ってこず、完読したことはありませんでしたが、本作は映画ということもあって、ボクみたいに村上初心者には入りやすいのではないかと思ってずっと気になってき…

漁港の肉子ちゃん 西加奈子

他人への無償の愛情は本当にあるのではないかと思える小説でした。 ガサツとも言える肉子の言動に、逆に感動させられるのは、そこには純粋さしかないからと思いました。 人に感動を与えたり、他人を動かすには、一見すると可笑しくも見える純粋さが必要だと…

世界の大富豪2000人がこっそり教えてくれた3週間で人生を変える法 トニー野中

自己啓発のプログラムとして、実践してみることで自身の考え方が変化していくことが実感できました。 ボクはこれまで、身に起きることすべてに先手を打つこと、何事にもベストを尽くすことを信念として実践してきました。 そうすることによって、物事に追わ…

七つの金印 赤石散人

漢委奴国王印偽物説による小説ですが、金印自体を偽物とするのではなく、現在国宝とされているのは模造品であり、本物は別にあるという内容です。出自の検証や、それぞれの考察の変遷に妙なリアル感があります。今となっては、金印自体の真偽はわかりません…

映画 十字架

中三の息子と中二の娘と一緒に観ることができて良かったです。 大人になったら違う自分が待っているのではなく、今の自分の延長でしかないということを、この映画を通して感じることができたのではないかと思いました。 小説は読んだことがなかったので、読…

映画 日本で一番悪い奴ら

人は環境によって変わっていくのだと思わされました。諸星は己の正義感を屈折させてまで、単にヒーローになりたかっただけだと思いました。市民の安全を守るという大義のために、目の前の犯罪を見逃すという論理は、警察組織の内部ならではの視点ですが、最…

大西郷という虚像 原田伊織

西郷隆盛に対するネガティヴな評価はタブーとされる雰囲気がありますが、ボクらが教えられる歴史は、全てある時期を一方的に描かれているものだとあらかじめ感じました。事実を積み上げれば見えてくる新たなる真実も全ては嘘と言い切れず、人間の二面性や隠…

グロテスク 桐野夏生

主観と客観のギャップや思い込み、勘違いなどにより、自分と自分以外の人との真の理解は不可能だと思い知らされるような内容でした。モデルとなった事件をベースに、それから大きく飛躍した展開と結末に向けてのストーリーの収束が、長編でありながらも飽き…

金色機械 恒川光太郎

SF的な設定でありながら、歴史的な背景もしっかりあって、面白く一気読みできました。 結果的に遥香の目的が達成されるストーリーには裏切られず、最後まで好奇心をもって読み進めることができました。大きな世の中の出来事であっても、時が過ぎれば、ただの…

映画 海街diary 是枝裕和

風景の場面が心地よかったです。 娘が漫画で読んで良かったから映画でも見たい、ということで娘と一緒に観ました。 3姉妹とすずのキャスティングはこれ以上ないと思えるほど適役でした。それぞれのイメージそのままの役でと思えました。 映画のストーリーを…

切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 中山七里

一人の人間という視点から見れば、臓器移植を受けても、その後の人生が素晴らしいものになるとは限らないということでしょうか。 脳死を人の死とするのかという判断は、人それぞれで、特に日本人においては、倫理観からまだまだ死とは認められないのが現実だ…

死にたくなったら電話して 李龍徳

腑に落ちないのですが面白く読めました。 人は他人にどれだけ影響を与えることができるのかという点で、結果的に影響を受ける側の心の持ちようだとも感じました。 何年一緒にいても分かり合えない仲もあれば、初美が徳山に感じたように会った瞬間からシンク…

ボラード病 吉村萬壱

小説におけるリアリティを追及しても、作者の主観から脱却する客観は不可能であるとすれば、フィクションとしての物語を追及するべきと思わされました。 舞台のモデルを探しながら読みましたが、読み進めるうちにその思考は無意味であると気づきました。 何…

麒麟の舌をもつ男 田中経一

料理をテーマにした小説であるため、当然に現代料理がストーリーの主軸と思っていましたが、読み終えたとき、「永遠のゼロ」の読了感によく似ていることに気づきました。戦争に翻弄されながらも、料理を通じて国に貢献しようとして裏切られますが、そのまま…

映画 血と骨

人は何のために生きるのか考えさせられました。また、人が人を理解することの難しさを感じました。 不器用な人ほど、自分の追い求めることに矛盾が生じたとき、一方を否定できずに、それぞれに対して肯定することによって、俊平のような二面性が生まれるので…

スリーパー 楡周平

実際の出来事を踏まえた構成で、水面下の各国の諜報活動とアメリカの北朝鮮への牽制が実は単純構造だというストーリーが面白かったです。微妙な駆け引きの中で戦争が回避されており、ボクらはそれらを知らずに生活しているという点で本当の平和ボケを感じま…

くちぬい 坂東眞砂子

ロスジェネ、ゆとりなど、世代によって独特な思考があるように、団塊世代前後にも特徴的な傾向があるように思います。 特に、昭和一桁年生まれの人びとは、思春期前後の終戦によって価値観の崩壊を経験したことにより、自分たちが日本を作り上げなければいけ…

楽園のカンヴァス 原田マハ

絵画がテーマで、ずっと読みたいと思っていた小説でした。ルソーやピカソ、美術館等の基礎的理解を深めつつ、スマホ片手に読み進めました。 写真が誕生してから絵画は芸術としてさらに発展することを迫られますが、それによる前衛的、近代的と言われる画家た…

キングダム 新野剛志

立場を変えた視点から他人を見れば、その人の印象は変わるのだと感じました。 真嶋は一見極悪人ですが、真嶋の住む世界に踏み入ってみれば、筋が通っているとも思え、結局、既得権益を守ろうとする側対、若者という構図は、裏表関係ない社会の基本的構造と理…

Iターン 福澤徹三

サラリーマン社会とヤクザ社会の対比が面白かったです。 組織からの視点で見たとき、擬似家族という前提で構成されるヤクザ組織は、資本主義上の会社組織と比べて、むしろ人間としては健全な組織なのではないかとも思いました。 お金の流れからしても、会社…

映画 パージ

恐怖映画には2種類あって、一つは心霊やゾンビなど未知の未確認への恐怖があって、二つ目は、人の恐怖だと思います。心霊やゾンビのホラーは、現実感がない分、リアル感が出せなかったら、一気に興ざめしていまいますが、人の恐怖は、リアルな分、観るほど…

日本人の9割に英語はいらない 成毛眞

確かに日本の英語教育は、英会話として通用しないと思いました。文法至上の受験用の英語を元に会話をすればくどい表現になる、というのは理解できました。通用しない日本の英語教育は、結局、既得権益にしがみつく者や、英語ができないことで将来への不安を…

白日の鴉 福澤徹三

「それでもボクはやってない」(2007年公開)を思い出しました。 痴漢に疑われたら、やってないことを証明、いわゆる「悪魔の証明」を被疑者が行わなければならないという、冤罪が生まれやすい状況に陥ってしまいます。 本書は、単に金銭目的や嫌がらせとい…

映画 淵に立つ 深田晃司

何年もくすぶる怒りや、一気に燃え上がったり、絶望を感じてある瞬間プツンと切れる感情が表現されていました。 丁寧に設定され、撮影されており、役者の演技も素晴らしく、予想以上に引き込まれる映画でした。 利雄夫婦は、何があったのか知りたいために八…

京大カレー部 スパイス活動 石﨑楓

ボクはカレーが好きなのですが、近年は、嫁さんのカレーや市販のカレーでは満足できず、自らカレーを作るようになりました。 カレーはスパイスも重要ですが、特にコクの深みを出すにはどうすればよいのか試行錯誤しています。「カレーはいろいろ混ぜればなん…

不発弾 相場英雄

昔のサラリーマンは、「朝駆け」、「夜討」、「首切り」とか、自分たちを武士のように、表現していましたが、それは高度経済成長からバブル期にあたって、自分たちが時代をつくっているという思いと、司馬遼太郎や吉村昭などの歴史小説から、自分らを武士に…

ウルトラライトハイキング 土屋智哉

ライトハイキングとは、装備が軽量化されたハイキングですが、それを極限まで絞り込んだ形がウルトラライトという考え方で、現在世界中の多くのハイカーがウルトラライトを目指しているということです。長距離を歩くには、身につけるものと泊まる装備と食料…

横浜1963 伊藤潤

人は多面的であり、置かれた環境や場面ごとに、その表面的な人間性を変化させるのだとすれば、多面性が強い人ほど評価されやすく、いわゆる裏表のない人ほど評価されにくいのだと思いました。また、置かれた環境に合わせた仮の人間性は、時間の経過が長いほ…

愚行録 貫井徳郎

人にはそれぞれストーリーがあって、この瞬間出会っているのだということを認識しました。社会は、自己中心的な視点でみると、自分以外の人は脇役でしかないように思えますが、他人の視点に立つことで、自分もその人の脇役でしかなく、真の理解者は自分自身…

映画 湯を沸かすほどの熱い愛 中野量太

自分がいなくては家族が回らないと思っている間は、なんの疑いもなく、家族への責任を感じつつ生活をしていきますが、自分の余命が数ヶ月だとわかった時点で、ボクは家族に何ができるのだろうか考えさせられました。 自分が死んだ後、残された家族の生活を考…

「鬼畜」の家:わが子を殺す親たち 石井光太

ボクも本書を読む前から、子供に対する暴力は遺伝するのだと思っていました。ボクは子供に手をあげたことは一度もありません。それはボク自身が親に手をあげられたことがないため、子供を叩くという発想にいたらないのだと思います。それは、両親が、さらに…

イモータル 萩耿介

久しぶりに小説を読んだ気になりました。 ボクは、小説の醍醐味は、人の思考が表現され、それを他人のボクが理解することだと考えていますが、本書はまさに思考と現実の葛藤が描かれ、「智慧の書」を巡る歴史とそれに関わった人たちの苦悩が丁寧に描かれてい…