カイコタンの読書ブログ

読書したり映画を観て感じたことをつづっていきます。

破獄 吉村昭

脱獄を繰り返した男の半生を描いた小説でした。特に昭和初期までの監獄からの脱獄は牢も看守の質も未熟で、まさに人知と体力の闘いの様子でした。 

用意周到に脱獄する者は、ハンニバル・レクターのように知能が高いだけでなく体力も備えておく以上に、脱獄に向けての異常な執念が必要でした。 

その執念は看守への怒りから発しているとすれば、動機が屈折しているほど周囲には理解されず孤独感は増すと感じました。 

しかしそうであればこそ、自分を理解してくれていると感じた者を深く信頼し、それが執念を軟化させるきっかけになるのだと思いました。 

一人で怒ったり悩んだりするのではなく、信頼できる人に自分を解放していく方法は、人の心理的なバランスを保つ手段としてやはり有効なのだと確認しました。

 

破獄 (新潮文庫)

破獄 (新潮文庫)